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名誉研究所長 中西照幸

【我が国の養殖の現状】

私は学生時代より長い間日本の水産業は質と量において世界のトップだと考えていました。ところが、20年前にノルウェーの養殖事情を視察した際に大変なショックを受けました。

例えば、私の専門の魚類ワクチンの分野についてみれば、ノルウェーにおいては1993年以降アジュバントワクチンの登場により抗菌性薬剤の使用が激減しています。一方、我が国では治療から予防への転換はノルウェーに比べ10年以上遅れ、2005年頃よりやっとワクチンが抗菌剤の販売額を上回るようになりました。しかし、多魚種少量生産という我が国の養殖業の特性などにより、予防に主眼を置いた魚類の防疫対策においてはまだ多くの課題を抱えています。

【世界の潮流】

昨年秋にノルウェーを訪問した際には、給餌、活魚の移動、死魚の取り上げ、ワクチン接種、養殖漁場の監視・観察における機械化・自動化とITの活用など養殖技術の高度化がさらに進んでいることに驚きました。右の写真はノルウェーの養殖企業の事務所で海上イケスの中のサケの行動を観察している様子です。

「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、健康志向からもヘルシーな魚が注目され、中でも寿司を中心とした和食ブームが世界中で巻き起こっています。寿司ネタといえば、これまでマグロやタイが中心でしたが、最近はサーモンが首位を占めるようになりました。これは高品質かつ美味なサーモンを低価格で生産し新鮮な状態で消費者に届ける技術が確立されたためです。
既に我が国でもマグロ養殖において最新の技術を導入した大型イケスを用いた養殖が開始されており、また大規模なニジマスの完全閉鎖式陸上養殖施設の設置が進んでおり、新しい養殖への夢が拡がっています。

ノルウェー視察

【現場に役立つ仕事】

私は漁民のための研究者になると宣言し理学部から水産学部の大学院に進学したわけですが、研究所や大学では専ら基礎研究に没頭してきました。

今後はこれまでの反省も込めて、現場の状況を学びながら養殖業者の皆さんの要望に沿った研究開発・サービスを心がけ、社員の皆様とともに環境に配慮し持続可能な養殖を目指していきたいと考えています。

名誉研究所長・中西 照幸
(研究開発担当 元日本大学生物資源科学部獣医学科教授)

先輩社員からのメッセージ

日本の養殖・水産業界の明日を担うゴトー養殖研究所の社員から皆様へのメッセージです。

先輩社員からのメッセージ 井口修兵

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